禁刀の令を布きたまえるに付き奏儀
(原文)
微賤の臣霽堅、誠恐れながら死諫の覚悟を以って元老院諸侯閣下に上奏する。
本年三月太政官第三十八号を以って大礼服を使用する軍人警察官吏等、慣習など規則にある服着用を除く以外、帯刀禁止の令を施行する事について、神武固有の国体において、恐れ多くも批判せずにいられず。
慶國の赤心ゆえ、只管慎み沈黙するも忍びなく、遂に4月21日を以って、熊本県令へ上申の法を批判したが、評議が難しいとの理由から、6月7日に訴えを本書を下げ戻しされた。
あゝ、田舎の小民は、文明礼法に不閑。
その論述する所、手落ちもあり一貫しておらず、事後些か明かすところもあり、而臣、犬馬螻蟻の如きつまらぬ者の忠義溢れ切迫し自ら止めることはできない。敢えて論列し、謹んで上奏する。
ー中略ー検討ー
謹んで思うに我神武の國刀剣を帯びる事は、遥か昔神代よりの習わしにして、國本頼と以て立皇威頼と以て輝き、以て神祇を慰祭し妖邦を払い以て世の乱れを平定する。
然らば、これを大にしては国家を鎮め、これを小にしては以って護身の武具たり。
あゝ、神を尊び武を尊ぶ国体須臾(少しの間)も不可離者其唯刀剣、敬神愛国の朝廷の意向を礼し、人をしてまた、遵守するべき責任に当たる者、争うてか刀剣にわかにすべけんや、刀剣の得失また威なるかな。

